最近テレビを見ることがとんと少なくなって、必然と番組表のチェックを怠っていたら、阿久悠先生の追悼番組を見損ねた。たぶんこの年齢(27歳)で阿久悠先生にお熱な人間は少ないと思うんだけど、一時期自分のなかで昭和の歌謡曲を再評価しようという生産性ゼロのムーブメントが巻き起こった時期があり(非生産的なものにはある種の高貴さが備わると信じることにしていた)、昭和歌謡史を紐解くなかで阿久悠先生の作詞と筒美京平先生の作曲作品は、それこそ夜空の星のように偏在していた。「すごいものには巻かれろ」が信条だもんで、阿久悠先生作品なんかをいろいろチェックしていたんだけど、最高傑作はジュリーの「時の過ぎゆくままに」だと思う。
この曲を生で聴きたくて当時、高い金を払ってジュリーのコンサートにも行ったんだけど、歌ってくれなかった。往年の歌手なんかが昔の曲をあまり歌わずに、最近出たアルバムの曲中心にコンサート開いたりするのはマジ勘弁。(チャゲアス、お前たちのことを言っているんだぞ!)その後、ジュリーに嵌って昔のベストテンでの訳の分からん衣装に興奮したりなんかして、この訳の分からん衣装を「成立」させてしまうジュリーは偉大すぎるみたいなロジックでジュリーの値打ちを勝手にどんどん吊り上げて肥大化させていたときに、友人に「ジュリーって男前の小林よしのりだよね」などと言われて反論できずにジュリー熱は一挙に冷めた。ときめきに死す。