ブログ ぱりてきさすのトレード日記: 灼熱アジア 緑色戦争

2010年11月17日

灼熱アジア 緑色戦争

初押しは買いということで寄り底祭り。ソニーやファナック買ってたられば。昨日の電力株はまずまず。アメリカがつるつるしてたので、電力の時代が来ちゃうとか思っていたんだけども、普通にソニーとか寄りで買うのが一番の儲かりでした。お粗末様です。他にも仕込みたくて仕方がない小型株も仕込みきれずにあれよあれよと上を穿つ。もっと流動性を。


昨日少し触れたNHKスペシャル「灼熱アジア 緑色戦争」の話をば。これ多分再放送をそのうちやると思うので、見てない人は是非におすすめ。身悶えること請け合い。

ある廃液処理機械を作っている中小企業の社長が出てくるのね。僕も人間を30年やっているので、顔を見れば大体の人となりは察しが付くものですが、この社長はきっと良い人なんだと思う。納期も守るだろうし、従業員にも目配せが出来るような立派な社長なんだと思う。その社長が中国市場へと挑む様子を追いかけていく。

中国の工場を視察する社長。工場側の担当者にあれこれ質問をするも、はぐらかされてばかり。要領の得ない返事ばかりに寂しく笑う社長。それもそのはず、この中国の工場には数日前に韓国の環境企業が韓国政府の環境省の役人とともにやってきて、すでに商談をまとめ上げていた。この韓国の社長なんか、工場に到着するなり花束を渡されて歓待されているんだよな。扱いがもう全然違うわけ。でもこの韓国側の社長も最後にはめ込まれてるんだよね。中国語と韓国語の契約書の文面が微妙に変わっているの。中国語の契約書では「利潤を求めない」とかシレッと書かれているわけ。だいぶ調子こいていた韓国の社長も最終的に利益ゼロで機械の納入をさせられちゃう。煮え湯ゴクゴク。これさ、ざまあとか思わないんだよな。なんだかもう、中国人のあまりに「真摯な汚さ」に感心してしまったわ。

んで、この手痛い敗北を喫した日本の社長はどんどん前のめりになっていくのね。北京大学に機械を採用して貰おうと学生に自分の自慢の機械を見て貰う。最初の反応は良いのだけども、機械の値段を聞いた瞬間から手のひらを返される。こんなクソ高い機械なんかいるかよ。という露骨な反応にこの社長はまた寂しくヘラヘラと笑うばかり。ここに来て社長は自分の機械の値段に競争力がないことを実感。何を思ったか中国の機械メーカーに自分の特許を無償で全提供を始めると言い出す。「もうね、あんまり深く考えないの。立ち止まっちゃダメだから。」などと宣う(これと同じことをWASABIに出た後あたりの広末涼子も言っていたぞ)。力なくヘラヘラ笑いながら話す社長。中国側の工場は大喜びで契約書にサイン。この社長は契約の判子を押す際、どことなく手が震えているんだよね。見てて痛々しい。

その後、さらに社長は北京大学に無償で機械を譲渡する。その上、研究開発費を援助という名目で寄付までしてしまう。契約式の壇上でうれしそうにスピーチをする社長。スピーチが終わると有力者たちから名刺交換責めに遭う。中国でこれまでに受けてきたけんもほろろな対応を思い出してか感慨深そうな社長。でもさ、中国人たちが社長を持ち上げるている理由は明快なんだよな。カモがネギを背負っているんだもん。みんな煮て焼いて食いたいからお近づきになりたいんだよ。中国人の目に社長はとっても良い人に映ったのだと思う。それは僕が人相を見て最初に上述したような理由からではなく、マヌケで与しやすい自分達にとって都合の良い人として。


このドキュメンタリー後半の社長の痛々しさが直視できないんだよな。これ契約内容の細部はわからないけれども、技術提供した会社が日本にこの機械をディスカウントして輸出しだしたら、この社長一撃即死だと思うんだけどもどうなってるんだろうね。なんかさ、この間もものつくりものつくり言ってる奴はしょっぱい奴ばかりだって話をしたけど、日本のものつくりとか完全に迷走してるよね。いくら性能良くても高けりゃ誰も買わないっての。商品を作らず、芸術品を作ってどうすんだよ。それで愉悦に浸っている今のものつくり教の実態なんじゃないかと思う。そうそう、それで思い出した。これは元サムスンの常務が日本のものつくりを批判している講演なんだけれども、言っていることが全部めちゃくちゃ正しいと思う。長文だけども読み物としても最高におもしろいので暇な時にでも是非どうぞ。


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posted by ぱりてきさす at 18:49| Comment(10) | TrackBack(0) | デイトレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは経営者に不向きなタイプが社長をやってるのが問題なのでは?、と思った。
あと、この日本企業の従業員がこの放送を見て何を感じたのかが本当に気になる。
Posted by 利尊 at 2010年11月17日 20:02
その人も、多くの日本人もバカなのか。
その社長の意図はなんですかね、受け入れて欲しい?ただのマゾ?

厭世的なのか、長年の風土で変異した遺伝的性質だからどうしようもないのかな。
残念だけど、大いなる愚か者として後世に名を残すでしょう^^;

携帯も、だいぶ前に高機能で国内で成功すれば世界でも通用するって言ってたメーカーがあったけど、10年も気付かないなんて・・
Posted by まさ at 2010年11月17日 20:20
詳しい解説、本当にありがとうございます!
番組は見逃しました。
でも、番組を見たような感じになりました。
中国の恐ろしさがよくわかりました。
この社長の行く末が心配です。。。
Posted by Mad at 2010年11月17日 20:28
見ましたよあの番組。

ショックでしたねえ 私は韓国が国をあげて環境事業に取り組んでいることに驚きました。 日本の経済力がどうのこうのと批判するまえに、国が本気になって取り組んでほしいものです。

毒入りjoke いや失礼しました、ドクダミJOKEの見事な巴里さん、これからも幅広いウンチクをお願いします。

追記 ドクダミって毒消し作用が抜群なこ   とはご存じですよね!
Posted by blue-A at 2010年11月17日 21:55
こんばんは。
番組は見てないのですが、以前別の番組で地方の中小企業が中国の企業に買収されていたのを見ました。
あぁ、こうやってドンドン日本の技術が安く乗っ取られるんだなあ〜と驚いたのを覚えています。

元サムスンさんのお話、とっても分かりやすかったです。
「ものつくり」の考え、すっごく納得しました。
負けちゃうのがよくわかったです(笑)

私も携帯は電話とメール、ネットだけで十分です。自分流にカスタムできて、安い方がいいのになあ〜。。。
Posted by なおみん at 2010年11月18日 00:56
昔、新日鉄が800円とかつけてNHKで新日鉄の社長がアルセロール・ミタルなんかからの買収や提携での技術流出を警戒しまくって奮闘してる特集をやってたころ
CISさんが
技術はマンパワーと資金力で追いつけるし
追いつかれるんだから買収されてもいいのにと言ってたのを思い出しました。

今回の汚水処理技術の社長さんの
選択はまあ賢明だったんじゃないかなと思います。
時が経てば追いつかれる技術なら出さずに価値がなくなるまで持っておくよりそれを提供して薄利やコネを得るという意味で。
Posted by 君の名前は? at 2010年11月18日 11:50
本業はものつくり、ものつくりって言ってます!
Posted by ぱーりー at 2010年11月18日 13:38
>>利尊さん
ほんと従業員がどう思ったのか知りたいですね。。。

>>まささん
結局、善意は通じるって過剰に思っているんだと思うんですよ。きっと日本じゃそれが通じていたんでしょうし。そこらへんも併せて見てて身悶えました。

>>Madさん
社長のその後は是非追いかけて欲しいです。どうなるか凄く知りたい。

>>blue-Aさん
韓国は産官が完全に一体化していましたね。リ・ミョンバクもそれを目指すと言っていましたし、それが機能している状況もよくわかりましたね。

>>なおみんさん
そうなんですよね。余分な機能は要らない。安いモノが欲しいという消費者の声って日本だと衣類系の会社にしか届いていないですよね。家電とか要らない機能ばかりだもんなぁ。

>>君の名前は?さん
今回の社長がこれからどうなるかがホントに知りたいですわ。追跡取材して欲しいですねぇ。

>>ぱーりーさん
フラグ立ってますね!

Posted by ぱりてきさす at 2010年11月18日 20:52
僕も番組を見ました。日本にいると、あまり韓国の情報が入ってこないですが、すごいことをやっていますね。
番組を見て僕も納得できなかったところがあります。大阪の社長は結局最後ボランティアのことをやっていました。それはビジネスじゃないです。ビジネスは成立しないなら、そこまでやらなくていいと誰でも思いますが、そこまでやったのは何か背景があったんでしょうか。それと、中国語と韓国語の契約書の文面は違うって実際にほぼあり得ないことです。しかも一番肝心なところで。僕は10数年前に前の前の会社で同じ仕事(日本と中国)をしていました。前の前の会社は10数人の会社で、契約自体も3千万前後だけだったんですが、契約書はすごく細かくて、すごく時間かかる作業です、しかも必ず双方の通訳(翻訳)はお互いにチェックするんです、サインの日で気がつくのはまずないです。NHKの番組ですけど、どうしてそうなったか正直よくわからないです。番組を見て中国ビジネス自体は成立しないって印象を受けてしまいましたけど、でも、ちゃんと成功する企業もありますが。

僕は日本の技術、日本のものつくりは素晴らしいことを実感していて、だいぶ前からなんで中国で成功する企業が少ないと考えてきました。リンク先の元サムスン常務の講演を読んで本当に感激しました。こういう方は通産省大臣になったら、日本の未来はかなり明るくなるでしょう。

確かに中国ジスネスは難しくてリスクがあるんですが、しかし、あれだけの市場は日本はやらないと、他の国が必ずやるんです。リスクを強調しすぎるところがあると個人的に思っています。一番強調されているリスクは技術の流出です。これはバランスをどう取るかの問題で、本当に難しいです。流出を覚悟してその技術を使って3年か5年の間でいかに市場のシェアとブランドを確保するかの問題だと思います。その3年か5年の間はその技術の対価の利益を得られたら、それで十分だと思います。技術を抱え込んで、3年、5年後その技術の優位性はなくなるケースはほとんどです。ひとつの技術は10年、20年も優位性を維持するのは今の時代は難しくて技術を抱え込んで利益をもたらさないのはもったいないと思います。

とにかく今の日本の閉塞感はなんとかしてほしいです。今日のテレビ(10chも、12chも)は孫さんの「全世帯光通信」のプランは誰もついてこないのを見て、本当にイライラします。特に報道ステーションはひどかったんです。分からないなら、取り上げなくてもいいのに、取り上げといて分からないと言いながら、否定的なニュアンスを伝えるなんてちょっとおかしいです。「税金ゼロ、1000円台、2016年実現」と信じる人は1人もいなかったんです。「本当にできる?」ってばかり。ADSLであれだけ貢献したのに、全く相手されない孫さんはちょっとかわいそうとも思います。リスクのないビジネスは世の中にあるでしょうか。僕はNTTより孫さんを信じますけど。孫さんを情報通信相に、元サムスン常務を通産相にしたら、革命が起こるかもしれませんね。
Posted by li_on at 2010年11月19日 02:02
>>li_onさん
過去記事のコメントって見落としがちになってしまって返信できずにいました。ほんと全く同感です。ビジネスの世界で成功した人間こそ政治家になってもらいたいですね。
Posted by ぱりてきさす at 2010年12月28日 14:14
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