ブログ ぱりてきさすのトレード日記: 最近読んだものから

2010年05月31日

最近読んだものから

トレーダーがトレードをしなければ毎日が日曜日なんだよね。前半はFX研究などもやりつつ、日曜日モードを堪能中。積読処理などもやってます。今日は最近読んだ本の紹介。



影響力の武器

この本は他人にイエスと言わせるための様々な手法を解説したもの。読んでの感想なんだけれども、なんだかピンとこない。ここで解説されている手法一つ一つはそれなりに効果があるものだとは思うんだけども、僕は他人を丸め込ませることにまったく興味がないからなんだと思う。わかりあえることと、わかりあえないことをわかることは同義で、わかりあえることが素晴らしいことであるならば、わかりあえないことをわかることもまた素晴らしいことだとか思っているんで。あと、なんというかテクニックでもって丸め込ませたとしても、それって一回限りだと思うんだよね。逆に僕はこういうテクニック使ってくる人間を物凄く警戒しちゃうし苦手なんだよね。馬鹿にされている感じがするから。職業で営業をしている人とかが読めば良いのかも。



超カンタン アメリカ最強のFX理論

FX本。僕は株の売買でチャートを見るとき支持線とか一本も引かないんだけども、この本を読んでFXにおいて支持線を引くことの意味をそれなりに理解しました。この本に書いているやり方なども一応検証はしているんだけども、今は別のやり方をいろいろと試しています。このあたりの話は後日別記事でエントリー予定。三空さんも株トレーダー用のFX講座をカブトモでやるらしいのだけども、もしかしたら内容丸かぶっちゃうかもw



天才 勝新太郎

勝新本。これまで勝新本ではこのブログでも以前取り上げた山城新吾の「おこりんぼ、さみしんぼ」が名著だったんだけども、この本の著者は77年生まれ。リアルタイムで勝新を見ていない世代による勝新本というのが新しい。勝新が座頭市にのめり込み、座頭市こそが勝新になり、やがては勝新が座頭市に飲み込まれていく様の描写がなんとも言えない。それは役者としての完成を見た姿のようでもあり、痛々しい道化の姿のようでもある。でも過剰な人間こそが持つある種の欠落を社会が容認できなくなった晩年の勝新はやっぱり少しかわいそうなんだよなぁ。



憚(はばか)りながら

後藤組組長後藤忠政の自伝。世間では経済ヤクザと評されただけあって登場人物やディスっている対象がめちゃくちゃおもしろい。武富士に某巨大宗教団体に中江滋樹に島田紳助に糸山栄太郎などなど。糸山栄太郎のカスっぷりって堂に入るというか、安定感があるというか、なんだか流石としか言えないんだよね。僕はますます糸山先生のファンになりました。それはさておき、生涯の友とした野村秋介(朝日新聞東京本社社長室で自決した右翼の大物)の遺体を警察署で取り返すときの話が凄く良い話なんだよね。感動した。個人的には今日取り上げた本の中では一番オススメだと思う。他にアウトロー自伝モノでは本田靖春の「疵―花形敬とその時代」もおすすめ。本田靖春は新聞記者上がりということもあって文章が簡潔で読みやすい。文体に滋味はないのだけれども、描写には滋味があるんだよな。石井福造との呼び出しと和解のシーンには感動して当時の読書ノートに全文を書き写したこともある。本田靖春では「誘拐」「我、拗ね者として生涯を閉ず」も名著。







晩年

先週の情熱大陸を見逃したんだけども、太田光が太宰治の晩年を取り上げていたらしいんだよね。良いね。よく太宰治って青春の文学者とか言われて中二病の罹患者が読む小説家みたいなイメージがあるけれども(これって全部奥野健男のせいだと思う)、小説家として太宰の能力値はやっぱり振り切れていると思う。特に短編小説は完全に神だと思う。処女作のこの晩年は未発表作品の断片をつなぎ合わせたものなのだけども、もうキレキレなんだよね。才能がスパークしまくっていると思う。太宰の代表作って「人間失格」や「斜陽」が有名だけども、この二つは完全に失敗作だと僕は思っていてて、なんでこの二つがいつも代表作になっているのかが良くわからない。太宰治をまだ読んだことのない人で太宰治をこれから読むという人はこの二つは最後に読めば良いと思う。

僕のお勧めの作品はたくさんあって絞れないのだけども、一冊を挙げれば「新釈諸国話」かなぁ。これは井原西鶴の浮世草子をリライトしたものなんだけれども、裸川って好きな作品があって一体これの井原西鶴バージョンはどんなものなのかと思って図書館で元になった井原西鶴の武家義理物語の「死なば同じ波枕とて」って話の現代語訳を借りてきて読んだことがあった。そしたら、「この話をここまで膨らませられるのかよ!」って感動したんだよね。新釈諸国話は戦争末期の防空壕で書かれた作品なので、ある意味命からがら書かれた作品なんだけれども、逆にそのことが奏効して太宰特有の死への過剰な憧憬がまったく出てこないんだよね。現実の死が間近にあるときだから憧憬が消えているの。このあたりのモチーフって三島の「金閣寺」に出てくる金閣寺を燃やした小僧と似ているんだけども、太宰嫌いを公言していた三島自身も確か奥野建男に「お前太宰のこと嫌いって言ってるけど、新釈諸国話や御伽草紙なんかも否定できるのかよ」って言われて沈黙したっていうエピソードもあったりなんかしておもしろい。まだまだ書きたいことあるんだけども、またいずれ。
posted by ぱりてきさす at 02:21| Comment(5) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おかえりなさい!
またぱりさんの味がある文章を読めて嬉しいです
これからも負担にならない程度にお願いします
Posted by Mad at 2010年05月31日 06:05
>わかりあえることが素晴らしいことであるならば、
>わかりあえないことをわかることもまた素晴らしい

同感です。協業することが互いに有益となる状況ならば、前者を追究するのが効果的ですし、分業や住み分けが成立する状況ならば、後者を尊重するほうが効率的ですね。いま自分が身を置く状況はどちらなのかを見誤るとしたら、それは自分にとってもみんなにとっても不幸なことなんだと思います。

後半はかなり渋いですね…!
Posted by しらま at 2010年05月31日 22:47
元気になられた?ようで良かったです。
今後も無理のないペースで更新して頂けたら幸いです。

「憚(はばか)りながら」は、amazonだと新品の納期が遅いため、中古品の方が高いという逆転現象が起きているようですね。少し前に買おうか悩んでいたのですが、購入を決心しました。背中を押して頂いたことに感謝。
Posted by k2 at 2010年06月01日 01:14
>>Madさん
ぼちぼち書いていこうと思います^^
いつもありです。

>>しらまさん
凝り固まってて押しつけてくる人いますよね。とほほってなっちゃいます。でも人間関係は非効率である部分が醍醐味だったりもするわけで、難しいところです。摩擦を避けることはただの逃げであることもあったりするわけで。結論でないですねぇ。

>>k2さん
マジですか。プレミアついているとはw 投資家として先物買い成功でうれしいです^^
Posted by ぱりてきさす at 2010年06月02日 00:08

 影響力の武器[第二版]は私も読みました。

 4月に発売された本に、影響力の武器が乗っていたので読みました。

 たぶん、パリさんも同じかな?

 

 
Posted by rony at 2010年06月06日 12:12
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