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山城新伍氏が死去。この人は数多くの舌禍事件やチョメチョメに代表される猥談などで物凄く誤解の多い人だったと思う。僕もその一人だったのだけども、彼の著作を読んでその印象は一変した。それが「おこりんぼさびしんぼ」という本で、かつて浅草キッドの水道橋博士が「この本をこのまま埋もれさせるわけにはいかない」と、幻冬舎の見城徹に再版を直談判したり、この本を書評するために書評本を書いたりと様々な活動が通じ、去年あたりに再版されることになったいわばいわくつきの一冊。
内容は若山富三郎と勝新太郎、二人の兄弟の様々なエピソードを綴ったエッセイなのだけれども、銀幕のスターと言われた二人の兄弟の素顔の優しさや悲しさなどを盛り込んだ出色の出来に仕上がっている。でも、僕の世代で勝新はともかく、若山富三郎を知っている人は凄くまれで、それがとても残念なんだよな。殺陣の天才なんだよね。僕はこの本の前書きにある、「若山富三郎と勝新太郎、僕はこの二人以外の何物の影響を受けていない」という一文が好きで、時々今でも図書館で何度となく借りては読んでいます。名著。