近年の27時間テレビは何か容易な「感動」を前面に押し出していて、僕は大嫌いだった。安っぽく量産される感動に興ざめしていた。その感動を製作記者会見で全否定することから始まった今回の27時間テレビには否が応にも期待を膨らませていた。そして、その膨れた期待を上回るものが今回の27時間テレビにはあった。本当に久しぶりにテレビに噛り付いて爆笑した。面白すぎて夜眠ることを忘れかけた。こんなことはもうないと思っていた。
僕は好きな芸人を人に尋ねられると毎回さんまだと即答してきた。芸人を計る物差しは生放送で何ができるかだと思っているからだ(この価値観もさんまの受け売り)。そして、さんまは今回の27時間テレビで生放送での圧倒的能力を証明したように思う。それだけにとどまらず、なにかテレビ界全体を覆っていた暗雲を一人で払いのけたようにさえ思う。テレビの限界が囁かれ、その中心にいたさんまの限界も囁かれていた。好感度タレントランキングでは順位を落とし、嫌いなタレントランキングにまで顔を覗かせるような状況にあった。そんななかでの今回の27時間テレビなのである。もう正直言葉にならない。
今回の27時間テレビで今後のテレビにおけるバラエティ番組は大きな影響を受けざるをえないと思う。横並びのくだらないクイズ番組は早晩消えることだろう(希望)。現状のテレビ業界の不遇をかこつばかりの製作者たちも今回の27時間テレビを見ればどうしたって感化されざるをえないのではないか。これで奮い立たなきゃそいつはモグリだ。テレビはまだまだ終わっていない。そのことを当代一の芸人である明石家さんまは誰よりも明確に証明した。テレビを愛する者として、本当の感動をありがとう。