最初にニューシティのことを知ったのは、課長の名言であるところの
「とうとう野村から・・・」だった。リートの存在は知っていたけれども、出来高の薄い、配当の多い、特殊な値動きをするモノ、程度の認識で、売買の眼中にはなかった。「とうとう野村から・・・」発言を受けて、自分なりにいろいろ調べてみると、確かに今がリートの買い場かもしれないなと思ってはいたんだけれども、そのときは行動へは移さなかった。
そうこうしているときに飛び込んできたのがニューシティの破綻だった。当時はリーマンショックの直後であり、何が起きてもおかしくない雰囲気ではあったのだけれども、このニュースを聞いたときに真っ先に感じたのは不思議な違和感だった。REITを日本語訳すれば不動産投資信託。不動産を小口化して証券化したモノなのに、それが無価値になるということが、僕にはどういうことなのかわからなかったのだ。ニューシティのマンションには現在も人が住んでいて、毎月家賃を払っているのにそれが無価値化するなどありえるのだろうか。そういう疑問が自分の中で沸々と湧いていたのをよく覚えている。そしてニューシティの直接の破綻原因も新規物件の購入代金の融資を銀行から調達できず、かといってキャンセルするにも違約金を払えない(REITは内部留保をほとんど貯め込めない)という正直マヌケな理由だった。
これはいけるかも知れない。今はリーマンショック後の混乱でリスクテイカーが市場に存在しない。ミスプライスを取るチャンスだ。そう確信してニューシティを破綻後の最初の全玉約定の4000円で買った。金額にして50万円分。寄り後ニューシティはその日のうちに2倍になった。勝利を確信した。
ここまではトントン拍子にコトが進んだのだけども、ここからが長かった。上場廃止後に幾度もドタバタ劇が繰り広げられることになる。どこからともなく現れたトビアス・ブラウンなる香港の投資家がニューシティ投資主の会を発足。彼は投資主に調停役の裁判官と弁護士に手紙を出すことを要請。僕もお涙頂戴満載の嘘八百で塗り固めた手紙を書いたりと工作活動に従事。もちろん手応えゼロだったけれども、やれることはやろうというスタンスで書いていた。だけども事態は遅々として進展しない。何度も何度も様々な予定が延期される。入札も二度延期されたんじゃなかったかな。結果的にこれによって市場の混乱期は過ぎ、リスクテイカーが現れる素地ができてから入札を行えたのはラッキーだったと思う。
その後、僕の予想に反して一回目の入札でローンスターが勝利。ローンスターの再建案は株主にとってはかなりしょっぱい内容で酷く落胆した。35000円で買い取り、大規模増資で再上場も五年後というもの。この案は投資主総会ですんなり可決。これでニューシティにおける僕の冒険は終わりかと思っていたら、とんでもないことが起きる。債権者集会でローンスターの再建案が否決されたのだ。これにより入札は再度やり直し。そして二回目の入札で大和ハウスが勝利。傘下のビライフとの合併という株主にとって最高の形で決着がついた。当時ブログにも何度か書いているけれども、どうにもここら辺の動きには違和感を覚える。金融庁が相当動いていたように思う。
一年半前50万円で購入したニューシティ株は、今日約1100万円となった。
posted by ぱりてきさす at 19:15|
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