ドルの崩壊と資産の運用―通貨制度の崩壊がもたらすもの
ジェームス ターク、ジョン ルビノ
最近、金投資をはじめたものだから、金に関する本を濫読しているのだけれども、この本は凄い。なぜ凄いか。2004年に書かれた本であるにもかかわらず、今現在起きていることをほとんど正確に明示しているからだ。僕はページを繰る手を何度も止めては発行日を確認した。なぜか。それが信じられなかったからだ。
この本ではまず社会の根本にある問題について言及がなされる。いわく、社会において政府は二種類の人々と対峙している。それは「納税者」と「政府の援助を受けている人々」である。本来ならば二種類の人々を公平に扱い、バランスの取れた徴税と社会保障を行使しなければならないのだけれども、現実の世界でそれは非常に難しい。なんでも与えると約束する野党に有権者の興味を惹きつけさせないためにも多くの譲歩をせざるを得ないからだ。そこで政府は税金を上げることなく社会保障を充実すべく、借金をすることで財政赤字を賄おうとする。その結果、通貨は増発され価値は希薄化し、インフレが進んでいく。
この通貨の死へと至るプロセスを説明したのち、歴史上の様々な通貨の滅亡を提示し、それらが現在の金本位制を排除したアメリカとその通貨ドルにあまりに似ていることを示唆する。そして、来るべき混乱から自分の資産を守るには、絶対の価値を持つ金がベストであることを、ドルと金の関係や原油と金の関係などを通した様々な観点から詳しく説明していくのだ。その中ではアメリカの住宅はバブルであることを指摘し、あまつさえ将来ファニーメイ、フレディマックなどが危機に陥ることについてさえも断言。このくだりを読んでいるときなど、この本は昨日の晩に書かれたものではないかと錯覚したほどであった。
金関連本には陰謀史観に寄っ掛かったものが多く、それはそれで、おもしろく読めるものも多いのだけれども、この本は非常に抑えた筆で金投資について教科書的に纏めているものだと思う。初版のみで増刷もかかっていないようなので、手に入るうちに手に入れてぜひ読んでもらいたい。下記の図の意味するところを理解するのならば・・・、
ドルの発行量
posted by ぱりてきさす at 22:21|
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